最近のインターネット界隈では、「集客には動画が良い」「ブログを書くよりも動画を配信するべきだ」「動画広告がどんどん伸びる」というように、ブログ(テキスト)よりも動画の方が良い!と言われています。確かにそれも一理あるように見えます。ただ、ブログは本当に衰退していくのでしょうか?ユーザ目線で少し考えて見ました。
ブログ(テキスト)の需要もあるので、使い分けが大事。
ユーザから見た動画のメリット
面白いものは確かに面白い
「やってみた」系の動画は分かりやすい例ですが、面白い動画は確かに面白いですし見たくなります。同じ内容をブログ(テキスト+画像)で書いても面白さは伝わらないと思います。恐らく、伝えることのできる面白さの上限量(←密度ではない)がブログよりも動画のほうが多いのかと。
情報量が多くて分かりやすいことがある
内容によっては、静止画やテキストだと伝わりにくい情報もあります。
例えば先日書いた自分の署名(サイン)を作ってもらったサービスだと、サインの書き方の解説動画をオプションで追加することができます。これを追加しないと、書き方を説明した資料は届きますが、どう書くかのイメージがつかみにくいため、初期の段階での上達にかかる時間が変わると思います。
受動的に見るのに便利
少し前の時代であれば、暇な時にはテレビを見るという人が多かったと思います。何かの情報を得ようとして見ている人もいますが、暇つぶしに「とりあえず見る」という人も多いように思います。テキストだと自分で読んでいくという作業が必要になりますが、動画は何も考えずにぼーっと見ることで楽しむことができます。
ユーザから見た動画のデメリット
上記のようにメリットはありますが、逆にデメリットもあります。
面白くないものは面白くない
上記の逆ですが、つまらないものはつまらなさが引き立ってしまう気がします。
例えば1990年代や2000年代はじめをイメージすると、動画を作るという行為はハードルが非常に高かったと思います。逆に言えば動画を見ている時点でプロが作った動画の可能性が高かったため、一定のクオリティが保たれていました(最近のテレビは面白くないという話はよく聞きますし、私もテレビはほとんど見なくなっています。ただ、番組の企画・構成や、出演者の話術や容姿、画面の編集技術や編集方法のすべての点において少し前の時代のテレビに近いレベルの動画を作るのは、よく考えると相当大変なはずであり、ある種の職人芸も含まれていると思います)。
一方、動画を作るハードルは下がりましたが、その分クオリティの低い(つまらない)動画もあり、面白い動画が増えた一方で見るのが辛いものも含まれます。よくよく考えると、よほどの有名人や美男美女・美声でない限り、時間を使って他人の顔を見るのは疲れるのです。
同じ情報を得るのにかえって時間がかかる
これはよく聞く「動画の方が情報量が増える」といった解説と一見矛盾するかもしれません。
動画によっては情報の伝達を主目的とするもの(ランキング系の動画など)もあります。このような動画は動画(画像)+ナレーションによって情報を伝えていることが多いです。しかし、ナレーションが話すスピードと、同じ内容のテキストを画面や本で声を出さずに目で見て読むスピードを比べると、多くの人は目で見て読むスピードのほうが、動画の再生にかかる時間より速いはずです。そのため、情報の伝達にかえって時間がかかります。
また、自分の頭で理解するのに時間がかかるくらい難しいことを解説する場合、自分の頭で考えるために立ち止まったり何度も見返したりする必要があります。そのような場合も、立ち止まったり見返したりするのはテキストのほうがやりやすいです。
あとは、単純に動画よりも文書を書くほうが得意な人もいます。
情報を得る目的でネット上を探している人にとってはブログなどのテキスト媒体のほうが向いていますと言えます。
不要な情報が多いことがある
人によっては、心身上の理由で煽りを嫌ったり音声を入れたくない方もいます。個人的な例ですが、私はゲーム実況動画は実況の声がやかましいので、声ではなくテキスト(字幕)で実況解説する動画を好みます。動画のコメントなどを見ていると、声の実況ではなくテキストでの実況解説を好む層が一定数いることが分かります。
ロードに時間がかかる
これは時代が進むと改善されていく話ですが、どうしても動画の方がデータのサイズが大きいため、見始めるのに多少のタイムラグが発生します。「高速なデータ通信が容量無制限で可能」な人が「通信環境が良い場所にいる」場合は別ですが、データ容量に制限があるプランの方もいますし、地下鉄に乗っている途中などだとたまに通信環境が悪いことがあります。その場合はタイムラグが広がります。
動画とブログの使い分け
上記のようなメリット・デメリットがあるため、用途によって向き不向きがあり、ブログのようなテキスト媒体はそれなりに残ると思います。
動画が向いているケース
- 企画構成・出演者の話術や容姿・編集技術のすべてに自信がある場合
- 情報伝達ではなく、あまり考えずに楽しませることが目的の場合
- 静止画やテキストだと伝わりにくい情報(動きやタイミングや音など、時間軸が重要な情報)を伝える場合
ブログなどのテキスト媒体が向いているケース
- 話術や容姿や編集技術にそこまで自信がない場合
- 文書を書く方が得意な場合
- 時間軸が重要ではない情報を伝達するのが目的の場合