日本経済が破綻したとすると、インフレや金融抑圧、場合によっては強制的に個人の資産を没収するために新円切替+預金封鎖などが起こると考えられます。いずれにせよ、せっかくコツコツ貯めてきた個人が持つ資産の価値は大きく毀損します。特に一定以上の資産を持っている人は集中的に狙われると思います。
個人的には、どこかのタイミング(2024年かそれより前)に上記のような何かしらの変化が起こるのではないかと予想しているので、今から備えておくべきことを考えてみます。
※ 管理人はかなりの悲観論者です。また、非常時に政府が実際にどのようなこと(課税・資産没収等)を行うかは分からないので、以下は現時点で管理人が考えたことに過ぎず、間違っている可能性があります。あくまでも参考程度で考えてください。
※ 預金封鎖が間近に迫ったときの対応はこちら
-
預金封鎖の直前に行うべきこと
以前の記事で、将来的に預% ...
続きを見る
日本の経済破綻による預金封鎖への不安
ただでさえ少子高齢化等で日本の公債残高が膨れ上がっている(2019年時点で対GDP比237.7%)中で、この春の新型コロナへの緊急対応として財政出動を行っているので、今年は公債残高が大幅に増えると予想されます。
人口構成の変化(←移民の大幅な増加や、人口密集地での甚大な自然災害や戦争による人口の大幅減が無い限り、長期的な未来の人口構成を予測できる)を考えると、今以上に景気が良くなることは考えにくいので、どこかのタイミングで日本経済の破綻(国債の債務不履行)が発生すると考えています。その場合、国の借金を圧縮するために、短期決戦or長期に渡って緊縮財政にするほか、銀行預金残高に対する課税や預金引き出しの制限(預金封鎖)、さらには新円への強制的な切り替え(交換レートは明らかに悪くなる)が行われる可能性があります。実際に、戦後に急激なインフレが起きたときに日本でも新円切替+預金封鎖がほぼ同時(新円切替の翌日に預金封鎖)が行われました。
冒頭で「2024年かそれより前」と書きましたが、2024年に新札が発行されることが政府から既に発表されています。今の日本円を回収して新円を流通させるにはATM等のインフラが新円に対応している必要がありますが、2024年に発行する新札をそのまま新円とすれば、前もってインフラを整えることができるため、政府にとっても都合が良いと考えて「2024年かそれより前」と考えています。もちろん、このタイミングに起きるとは限りませんが、30年以内にはこのようなことが起きるかと思います。
もちろん、上記のことは誰も望んではいません。また、上記のような国の財政破綻は起きないとする経済理論もあります(MMT理論など)。ただ、起きてしまう可能性が今の状況だと無視できないレベルには上がっていると思います。
逆に、これを見越して備えておけば、他の人が資産の大半を失う中である程度の資産を守ることができ、相対的にかえって儲かる可能性もあります。すぐに準備できるものではないため、今から少しずつ準備するに越したことはないでしょう(ロシアで預金封鎖が起きたときは、海外口座に米ドルを持っていた人が相対的に富豪になったそうな)。
預金封鎖に今から備える方法
個人でもできることとして、今から少しずつできることを記していきます。基本戦略は「日本の銀行の預金以外の形に資産を変える」ことです。
なお、これらを行っていれば安全というわけではなく、政府の動き方によっては一部または全部が無に帰す可能性もあるので悪しからず。
難易度 低:日本円でのタンス預金を一定額持つ
預金封鎖が行われると、(新円としての)引き出しが可能な金額に制限がかかります。国がどのような制限をかけるかにもよりますが、銀行窓口やATMは殺気立った人で大混雑になるでしょう。混乱を避けるために、当面の生活ができる程度の現金を予め引き出しておきましょう。
預金封鎖は新円切替と同時に行われるため、タンス預金が全額役に立つ訳ではない(おそらくは新円への交換の際に一定割合が失われる)ですが、預金の引き出し額に上限ができたときの、当座の混乱を避けることができます。あまり大量に持つと、家に泥棒が入ったり火事になったときに失うリスクが大きいため、とりあえず1月分程度の生活費を持っておけばよいかと。
難易度 低:外貨で現金を持つ
日本の財政が破綻したときは、急激な円安になるでしょう。
上記の変形版として、外貨として現金を持っておけば、(日本円に対する)外貨の価値が上がるため、うまくすれば一儲けできるかもしれません。また、日本での生活が難しくなったときに海外に退避するときにも、外貨の現金を持っておけば当面の生活が可能になります(もっとも、日本の財政破綻のような緊急時に、現金を国外にうまく持ち出せるかどうかはまた別の問題ですが…)。
なお、外貨の現金はTravelexやワールドカレンシーショップなどで気軽に購入可能です。ただし2020年7月時点では新型コロナの影響で大半の店舗が休業中 or 営業時間が短縮されているので、実際に店舗を訪れる場合は、必ず事前に営業状況を確認して下さい。
難易度 中:金(ゴールド)を持つ
昔から「有事の金」と言われるように金は資産性があるものと認識されています。現物の金を自宅に持っておけば、いざというときの資金源になるでしょう。海外に退避する際の軍資金としても使えます(海外で現地の通貨に換金する想定)。
ただし、残念ながら金はこの1年で急激に値上がりしており、1年前の1.5倍近くになっています。新型コロナの影響もあってまだまだ上昇するかもしれませんし、どこかでバブルが弾けるかもしれません。今から買うと高値づかみになる可能性もあります。また、金の保有が禁止されたり(実際にアメリカで保有が禁止されていた時代があった)金に対して課税される可能性もあります。さらに売買の際は現時点で(特に売却時は)本人確認書類やマイナンバーの提示が求められる場合があるので、あまり大きな額を売買すると税務当局にマークされる可能性も…。とはいえ、金はいざというときの「保険」としては有用なので、少し安くなったタイミングで買っておくのが良いでしょう。
『大富豪の投資術』という本では、平時であれば保険としての金は総資産の5%程度で良いとしています。ただ、今は平時とは少々異なる状況なので、自由に使えるお金が多い場合はもう少し増やしても良いかもしれません。
預金封鎖に備えるためには最終的には金を現物で持つのが良いですが、現物の売買は実際のところ少々面倒でありまとまった金額の資金が必要です。インフレへの対応や投資として持つのであれば、ネットでの売買や純金積立の方がより少額かつ気軽に金の保有が可能です。
純金積立やスポットでの売買をネットで行うことができる取引会社はいくつかありますが、田中貴金属工業やマネックス証券であればネット上で積立→一定量貯まったら現物で引き出すということも可能です。
難易度 中:固定費を見直す
ここまでで「外貨を持つ」や「金を持つ」などと書いてきましたが、当然ですがそれらの資産に回すためのお金が必要です。
現時点で億単位の資産を持っている人なら関係ないですが、それ以外の多くの方は給与で(ほぼ)定額の収入を得ていると思います。固定費をなるべく下げて、お金を貯める必要があります。中長期的な目線で考える必要があるので、自分だけでは難しい場合はFP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみるのも良いでしょう。
難易度 中:換金しやすい現物資産を持つ
上記のように現物の金は安全資産としては有用ですが、現時点でかなり価格が上昇している上に、混乱期には換金が難しいかもしれません。そこで、現物の資産に変えておく手もあります。
金額が大きい現物としては不動産や高級車が分かりやすいですが、すぐには換金できません。もう少し価格が安くて持ち運び可能なもの、例えばブランド物の高級腕時計やバッグに変えておけば、海外に退避した場合でも現地でまとまった資金に変えることができると思います。
万人向けではないものの、変わった例では美術品に変えておけば、普段から自宅等に飾って楽しめるほか、上手く行けば売却益を出せるかもしれません。
難易度 高:海外の銀行に口座を持つ
以前から一部界隈では言われていることですが、海外の銀行に口座を持つのが、日本国内の預金封鎖への対抗策として有用です。
もっとも、今は海外での口座開設時にも日本のマイナンバーの提示が求められるので、政府はその気になれば資産状況を把握することができます。しかし、日本の政府による預金封鎖が海外の銀行まで及ぶとは考えにくく(他国の企業(銀行)への、他国内での活動に対する口出しはさすがにできないはず)、少なくとも優先順位は下がるはずなので、現時点でも有効な対策になると考えられます。
ただし、以前は香港あたりの口座を作るのが簡単だったらしい(私は未体験なのでよく分からん)のですが、日本人の口座開設が年々厳しくなってきているらしいので、今からだと難しいと思います。また香港は政治的なリスクが高まっているため、できれば香港は避けた方が良いかと(無いよりはマシですが)。さらに、今は新型コロナの影響で口座開設のための海外渡航が困難です。
-
資産フライトで香港に作った銀行口座は今後どうなる?
富裕層向けの記事などを見 ...
続きを見る
今後、海外で口座開設をする妥当な理由ができた場合(海外就職・海外駐在・留学など)には、ぜひとも口座を作っておきましょう。
難易度 高:起業(副業)の経験を積む
日本が財政破綻したとしても、さすがに共産主義などに切り替えることはなく、資本主義社会は続けるでしょう。人が住んでいる限りは、生きるためにモノの売り買いは生じます。
不景気になっても、その時々で需要が伸びるビジネスは存在します。ビジネスを立ち上げて運営するというスキルは、業界によって細かい差はあれど似た要素はあり、必ず必要とされるスキルです。また雇われの身と違って収入の上限はなく、うまく行けば混乱期に急成長できる可能性もあります。
今から起業の経験を積むのは1つの手です。未経験での起業はリスクが大きいため、まずは副業から始めてみるのが良いかと。
難易度 高:海外で働けるスキルを持つ
日本経済が破綻したら、経済の混乱のため働き口が無くなったり、失業率の急上昇やそれに伴う犯罪率の増加など、日本での生活の魅力が失われていくと思われます。それだったら、いっそのこと海外に住んで海外で働きましょう。
英語や現地の言語を使いこなせることは大前提として、それ以外の専門的なスキルを身に着けておけば、海外就職も夢ではないかと思います。また、日本にいるうちから外資系企業で働いておけば、海外の人と働くことにも慣れることができるかもしれません。
-
LinkedInで外資系企業などに転職する方法(その1: リクルータとの接触)
私は30代前半までに2回転職し& ...
続きを見る
なお、個人的な経験や他の人の話に基づく考えですが、日本において「英語ができる」というだけでは、高給を得ることは難しくなっています。また、専門的なスキルがあっても(内容によりますし、ずば抜けて能力が高い場合は別でしょうが)給与はある程度で頭打ちになります。しかし英語と専門的スキルの両方を兼ね備えると、割と簡単に高給を得ることができます。英語自体は必要条件に過ぎないのですが、他と組み合わせると大きな武器にもなるので、専門的スキルを持っている人はなおさら、英語にも力を入れましょう。
難易度 激高:海外での永住権を得る
海外に住むと言っても、就労ビザが降りなかったりすると海外では暮らせません。現地で暮らせるだけの資産を予め持っておくことが前提となりますが、もし取れるのであれば海外での永住権を得ると良いでしょう。
なお、一般的に海外の永住権を取るのはかなり難しいようです。コミュ力や容姿に自信がある方は、自力で永住権を取るよりも外国籍の配偶者を探す方が簡単かもしれません。