このシリーズの前の記事はこちら→その2: エージェントの選び方
エージェントやリクルータとのやり取りが始まると、遅かれ早かれ英文履歴書を求められると思います。ここでは英文履歴書の書き方について記します。
日本でよく使われる履歴書のフォーマットは使いにくい
LinkedInを通して転職エージェントと接触した場合、履歴書や職務経歴書の提出を初期の段階で求められます。エージェントがこちらの過去の経歴を知ることで、スキルセットによりマッチする求人案件を提示するのが1つの大きな理由だと思います。ただ話を色々と聞いていると、氏名を隠して企業側に履歴書等を見せることで、こちらのスキルセットに興味を示す企業を探すということもやっているように思えます(なお通常は企業側に見せる前に、こちらの同意を取ってくるはずです。もちろん断ることも可能)。
ここで、履歴書や職務経歴書と言えばどのようなものを思い浮かべるでしょうか?
恐らくコンビニに売っているような定形のフォーマット(左半分に氏名・住所や学歴・職歴を書き、右半分に資格や志望動機等を書くもの)を思い浮かべると思います。ただ、企業に応募する前にエージェントに見せるのを目的とした段階では、いざこのフォーマットで書こうとすると困るはずです。
例外はあるかもしれませんが、一般的なフォーマットでは右半分に志望動機や趣味特技や本人希望欄が入っています。しかし、エージェントに見せる段階では、右半分の欄を埋めるのが以下の理由により困難です。
- 志望動機…そもそも応募する企業や職種が決まっておらず、志望動機を書こうにも書けない
- 趣味特技…アイスブレイク時の話題作りには良いかもしれないが、強いて紙に書くことでもないと思う
- 本人希望欄…特定の職種に強い希望がある場合は書いても良いが、幅広く仕事を探したい場合にはあまり限定したくない
よく考えると、このフォーマットは具体的な応募先が決まっているのが前提ですが、初期の段階では応募先やポジションが決まっていないので、そもそもこのフォーマットを使うことに無理があるのです。そこで私は、日本の企業であっても、あえて英文履歴書を作ることをおススメします。
英文履歴書とその書き方
文字通り英文の履歴書なのですが、書く内容が上記のようなフォーマットとは全く異なります。よくある日本の履歴書や職務経歴書のフォーマットを単純に英訳したものではなく、全くの別物と考えて下さい。
実際にはフォーマットの規定はないのですが、書き方を指南しているWebサイトは探せばすぐに見つかります。色々なサイトを見ていると、大体上から順に次のようなことを記載していくことが分かります。
- 氏名や連絡先などの基本情報(写真は入れないこと!)
- Profile…過去の経験・スキルセット・所持資格や得意分野のサマリ
- Education…学歴
- Work Experience…職歴(日本の履歴書と異なり、時系列の逆順に書く(最新の職歴が一番上に来る)。また、それぞれの職場でどのようなことを行ったかも書く)
履歴書と職務経歴書を合体させたような内容になりますが、志望動機や本人希望欄、趣味特技といった書きづらいことは一切必要ありません!(希望職種は書きたければ書いても良いが、普通は書かない)。あくまでも自分自身の経験やスキルセットを淡々と書いていくことになります。言い方を変えると自分自身の仕様や取説を書いているとも言えるでしょう。ただしこれだけでは、多数の応募者があるようなポジションでは他の応募者と比べて埋もれてしまうため、いかにスゴい経験やスキルを持っているかをアピールするような書き方にもすべきです。TOEICの試験問題に出てくるセールスレターは、個人的には分かりやすい例だと思っています。
その他のTipsは次の通り。
- 要らぬ個人情報は入れない…1.で写真は入れないと書いていますが、他にも年齢・性別や家族構成など、仕事に直接関係の無いことは書かないのが欧米流です(国によっては就職差別を防ぐための法律が厳しく、そのようなことは書かないのがルールになっている)。
- フォントに気をつける…何かの本で読んだのですが、フォントは意外と重要らしいです。より良い印象にするために有償フォントをわざわざ買っている人もいるらしいですが、とりあえずTimes New RomanかArialにしておけば大丈夫だと思います。間違っても日本語用フォントであるMSゴシック等を使ってはならず(紙に印刷して比べてみると分かりますが、英字が美しくない)、ましてや全角英数字を使うのは論外。
- 手書きである必要は全くありません。ささっとパソコンで作成してしまいましょう。
- カバーレターは実は不要…カバーレターの作成が必須と書かれているサイトや本が多いですが、これは紙を郵送する際に必要になるものです。エージェントとは基本的にメールでファイルをやり取りし、応募先企業にもエージェントがファイルを送る(その際に、カバーレターに相当するものはエージェントがメール本文に書く)ので、実は応募者側でカバーレターを作る必要はありません。
- 入力ミスに注意…内容の良し悪し以前に、英単語のスペルミスや文法の破綻は致命的で、即座に選考対象から外れてしまいます。必ずスペルチェック機能付きのエディタ(MS Wordなど)を使いましょう。
- エージェントを有効活用…書き方や内容について、転職エージェントにレビューを依頼し意見を求めましょう
英文履歴書はゼロから作るのは結構大変ですが、一度作れば様々な場面で使い回しが効く財産になります。また、外資系企業を受ける際にはいずれにせよ必要になる可能性が高いので、一度、時間をかけて作ってみるのはどうでしょう?
なお、エージェントに英文履歴書を渡して、運良く選考が進んだら、最終面接に近い段階で日本語の履歴書を求められる場合があります。恐らく人事部が使うのかと思います。その際は日本でよく見かけるフォーマットを使うことになりますが、その頃には特定のポジションの選考が進んでいるため、志望動機を書くことは難しくないと思います。思いの丈を書きましょう。趣味特技欄や本人希望欄が無いフォーマットも探せば見つかるので、何とかして埋めて下さい。
このシリーズの次の記事はこちら→その4