学生納付特例制度で猶予された年金は、あえて10年後に追納するのが良い

マネー

学生納付特例制度で猶予された年金は、いつ払うのが良いのでしょうか?

「2年以上経過すると追納する金額が増えるので、2年以内に追納するのが良い」と他のネット記事では言われていますが、別の観点で考えて、あえて異なる意見を記します。

  • 税金等を考えると10年後に支払うのが良い
  • 追納を忘れて10年を過ぎないように注意

なお、この記事ではそもそも年金を納めるか否かは考えず、期限内に追納する前提で考えます。管理人も将来の年金はアテにしていませんが…。

学生納付特例制度とは

日本国民は20歳になったら年金を納める必要があります。ただ、学生の間は大した収入が無い人がほとんどでしょう。そのため、20歳から卒業するまでの2年間(浪人留年せずに学部卒の場合。大学院に行ったりした場合はそれ以上)の年金は、親が代わりに支払うか、学生納付特例制度を使って猶予してもらっている方が多いと思います。

学生納付特例制度については以前の記事に書きましたが、手続きするだけでデメリット無く支払いを猶予してもらえます(←未納とは扱いが全く異なる!)。親が代わりに支払う場合や、何らかの理由で学生のうちから多額の収入を得ている場合を除いて、学生納付特例制度を利用するべきです。

10年以内で可能な限り後払いするのが良い

さて、学生納付特例制度はあくまでも学生時代の支払いを猶予してもらえるだけであり、いずれは支払う必要があります(追納と呼びます)。この追納は、本来支払うべき時期から10年以内であれば行うことが出来ます。

ただし、2年を過ぎると「加算額」というものが追納するべき金額に加算されます(利息のようなものであり、10年経過で数百円?)。そのため、単純に考えると2年以内に追納する方が良いように見えますし、多くのWebサイトではそのように書かれています。

https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150331.html

確かに「2年以内に追納する」というのは一見正しそうに見えますが、本当にそうなのでしょうか?

個人的には次の2つの理由で「10年後に追納する」方が良いと考えています。

年数が経つほど税務上のメリットを多く得られる可能性が高い

以前の記事や他のWebサイトにも書かれていますが、追納した金額は社会保険料控除として所得税から控除できます。

ところで、所得税の税率は前年の所得によって変わり、所得が195万円〜330万円(年収が約300万円〜480万円)だと10%、所得が330万円〜695万円(年収が約480万円〜900万円)だと20%、所得が695万円〜900万円(年収が約900万円〜1130万円)だと23%になります。

No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁

仮に大学卒業後に大手企業に就職できたとすると、社会人1〜2年目は恐らく税率10%の年収(約300万円〜480万円)になりますが、数年後には20%の年収(約480万円〜900万円)になり、うまくいけば23%の年収(約900万円〜1130万円)やそれ以上になるでしょう。

終身雇用が崩壊しているとは言え、30代くらいまでは年数が経つほど年収が高くなる人が多いと思います。また控除により軽減される所得税額は、税率が高いほど大きいため、年収が高くなる(それにより税率が高くなる可能性が高い)後の方が、社会保険料控除で得られる税金のメリット大きくなります。

もちろん後に払うほど追納時の加算額が大きくなりますが、10年もあれば税率が10%から20%に変わる程度には年収が上がるでしょうし、23%やそれ以上の年収になる人も出てくるでしょう。そのことを考えると、10年後に追納することで、加算額の増加を遥かに上回る税金面のメリットを得られます。逆に、10年以内にこれ以上は税率が上がるとは思えない(8年後に年収600万円の人が2年以内に年収900万円に到達するのは、上手く転職しない限り難しい)場合は、その時点で追納してしまうのが良いです。

運用できる資金が増える

よく「投資は若いうちに始める方が良い」と言われます。これは若いうちから運用するほど、運用できる期間が伸び、その分だけ資産を増やすことができるためです。

追納が必要な年金は、大まかに言えば1年分あたり約20万円です。それを株式などの資産運用に回せば、10年もあれば10%は増やせていると思います。こちらも、2年以降の追納時に追加でかかる加算額を大きく上回ります。

もっと有意義な使い方がある

上記のように運用に回すのも1つの手ですが、若いうちはその資金を別のものに使うのが有意義でしょう。例えば海外旅行で見聞を広めたり、資格などの自己投資に使ったり、合コンやデートに明け暮れたり(笑)

最大限楽しめるのは若いうちが主であり、投資対効果も高いです。

終わりに:追納するのを忘れないように!

上記のことを考えると、年収アップによる税率上昇の影響を活かしつつ、資産運用のための資金を残すという意味で、社会人になってすぐではなく、可能な限り支払い時期を引き伸ばし、税率が上がったタイミングで追納するのが良いと言えます。ただし、唯一の欠点は追納するのを忘れて10年が経過してしまう可能性があることです。

確かに10年後に明確に思い出せるかは怪しいところなので、せめて社会人2年目以降、できれば税率が20%(年収が480万円を超えたあたり)になってから支払う方が良いでしょう。