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国際線エコノミークラスとプレミアムエコノミーの比較(JAL B787-9)【プレエコは微妙なのか?】

2024-02-17

エコノミークラスとビジネスクラスの間のプレミアムエコノミークラスは、値段が結構高い割にはエコノミークラスとの差が分かりにくいので、微妙な扱いを受けている感があります。実際のところプレエコはどうなのか考えてみました。

プレミアムエコノミークラスはエコノミーの延長の割にはかなり高価

国際線プレミアムエコノミークラスに乗ったことはあるでしょうか?

国際線では(航空会社によりますが)ファーストクラス、ビジネスクラス、プレミアムエコノミークラス、エコノミークラスの4つの座席クラスに分かれますが、プレミアムエコノミークラス(以下、プレエコと呼ぶ)は実に中途半端な立ち位置です。

通常、安さ優先で飛行機に乗る人はエコノミークラスを利用します。逆にお金に余裕がある人や、ポイ活などでマイルを貯めた人は、エコノミークラスより遥かに快適なビジネスクラスを利用します。その間のプレエコですが、設備はあくまでもエコノミーの延長であり、快適さはビジネスクラスには遠く及びません。だからと言って値段はエコノミーに近いかというとそうでもなく、ビジネスクラスよりは確かに安いものの、長距離路線だとエコノミーとの差額はかなり高いです。特に、エコノミークラスはタイミングによっては格安でチケットを取れることがあるのに比べて、プレエコはあまり安くはならないので、差額は広がり気味です。

例えば本記事執筆時点(2024/2/17)で3/13の東京→ニューヨーク(片道)のJAL便を見ると、エコノミークラスは30万円強〜、プレエコは50万円強〜、ビジネス80万円弱〜、ファーストは200万円となっています。この場合において、一般的な個人がエコノミーから追加で20万円を気軽に払えるとは考えにくいでしょうし、お金が有り余っている人ならビジネスクラスを使うでしょう。

ここまでプレエコの悪口を書いてきました。しかし、場合によってはプレエコも選択肢の候補になることがあり、そのようなケースを考えてみます。

エコノミーとプレエコの違い(JAL B787-9)

先日の中華圏の都市を巡る旅では、羽田→台北はエコノミークラスを使い、香港→羽田はプレミアムエコノミークラスを使いました。偶然にもどちらも同じ機種(JAL B787-9)だったので、違いを記します。

https://www.jal.co.jp/jp/ja/inter/service/premium/seat/skypremium.html

プレエコの方が座席が少し広く快適

B787のプレエコはJAL SKY PREMIUMです。これは幅が少々広いほか、前後の間隔が10cm広いため、身長が高い人でも足元に余裕があります。また前の席が倒れないため座席を気兼ねなく倒せたり、フットレストやレッグレストがあるなど、長期間のフライトだとエコノミーとの快適さが大きく変わります。

https://www.jal.co.jp/jp/ja/inter/service/premium/seat/

ヘッドホンが変わる

細かい内容ですが、プレエコだとヘッドホンがノイズキャンセリング機能付きになる場合があります。耳元のスイッチでノイズキャンセリング機能をON/OFFできるのですが、比べてみるとノイズキャンセリングで飛行機のエンジン音をかなり減らせることが分かります。映画を楽しみたい方は体感が変わると思います。

なお、プレエコだと常にノイズキャンセリングヘッドホンが付くのではなく、ヘッドホンが変わる路線は一部のみのようです(これによると香港〜羽田便は対象外のはずですが、なぜか私が乗ったときはノイズキャンセリングヘッドホンを使えましたが)。

https://www.jal.co.jp/jp/ja/inter/service/premium/entertainment/premiumeconomyclass.html

食事は変わらないが飲料が少し変わる

プレエコの食事はエコノミーの食事と同じです。例えば次の2枚の写真はそれぞれエコノミークラス、プレミアムエコノミークラスの食事ですが、ワンプレートに載ってくるという点ではどちらも同じです(ビジネスクラス以上だと明らかに異なる)。

羽田→台北のエコノミークラス
香港→羽田のプレミアムエコノミークラス

ただし飲料はプレエコの方が種類が少し増えて、エコノミーでは選べないシャンパンや芋焼酎(鶴空)を選ぶことが可能です。

国際線サクララウンジを使える

海外の航空会社だと、ラウンジ利用はビジネスクラス以上(プレエコだと利用不可)のケースも多いのですが、JALではプレエコからJALのサクララウンジを利用可能です。国際線サクララウンジだと、美味しいと評判のJALカレーなどを含む食事を取ることができ、搭乗まで快適に過ごすことができます。

なお、サクララウンジが無い空港では別の航空会社のラウンジ利用になる(例えば香港だとカンタス航空ラウンジ利用)か、そもそもプレエコだと航空会社ラウンジを利用できないこともあるのでご注意ください。

専用チェックインカウンターを使える

プレエコはチェックインカウンターがエコノミーとは異なります。エコノミーのチェックインカウンターは長蛇の列になっていることが珍しくないのですが、プレエコは空いています。また空港によってはビジネスクラスカウンターと共通になっていることもあります(香港国際空港など)。

手荷物がエコノミークラスの前に返却される

プレエコの場合、手荷物に「EXPRESS」タグが付きます。これが付いていると、手荷物はファーストクラスの「FIRST」や、ビジネスクラス・JGCの「PRIORITY」の次に出てきます。もっとも、JALの場合はJGC会員が大量にいる(つまり「PRIORITY」の荷物が多い)ため、思ったほどは早く出てきませんが、大多数であるエコノミークラスよりは早くなるため、時間の節約になります。

https://www.jal.co.jp/jp/ja/inter/baggage/priority/

隣に人がいる可能性が多少低い(ただし運次第)

プレエコが設定されている飛行機において、プレエコの座席数は結構少ないです。しかし、プレエコの立ち位置が微妙なためか、プレエコを選ぶ人がそれ以上に少ないため、隣に人がいない可能性がエコノミークラスより少し高いかもしれません。もちろん、あくまでも運次第なので、予約時にシートマップを見て1席の埋まり具合を見ながら考えてみることにはなります…。

どのようなときにプレエコを使うべきか

経費が会社持ちの出張と異なり、料金を自分自身で負担する個人旅行の場合、いくらプレエコが快適だからと言っても、支払う気になれる金額には限度があります。例えば冒頭のニューヨーク便で、確かに13時間のフライトが快適になるといっても、それだけのために20万円を払う人は少ないのではないでしょうか。

しかし、場合によってはプレエコの料金がエコノミーとあまり変わらないこともあります。例えば次の図はある日の香港→東京便の値段ですが、JL026のプレエコとエコノミーの差額は1,160 HKD = 約2万2千円です。4時間弱のフライトですが、これくらいの差額なら出せるという人もいるかもしれません。特にJGC会員でない人にとっては、ラウンジ利用などは大きなメリットです(逆に、既にJGC会員になっている人は、サクララウンジやビジネスクラスカウンターを常に使えるので、メリットは少なくなります)。

またこの場合、プレエコのSemi-Flex料金 < エコノミーのFlex料金となっており、(予約クラスが違うので一概には比較できませんが)なぜかエコノミークラスよりプレエコの方が安いという奇妙な事象も起きています。

この例はかなり有利な例であり、実際にはここまでプレエコとの差額が小さい例はなかなかありません(同じ日で東京→香港にすると、なぜか差額が7万円くらいになったりするので、本当に謎です)。ただ、色々探してみると出てくるかもしれません。個人的には、フライト1時間あたりの差額が7,000円かつ差額の合計が5万円以内に収まるのであれば、エコノミーではなくプレエコを検討しようかと思います。

  1. 2023年4月(?)のシステム変更により、予約前でもシートマップを見えるようになった

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