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ファーストクラスに乗るためのポイ活でマイルを貯めるのは本当にお得なのか?投資対効果を検証してみた。

2019-12-14

よくANA/JALの国際線ファーストクラスに乗るために、「ポイントサイト等でマイルを貯めてます!」(いわゆるポイ活)という人をネット上で見かけます。一見するとお得に見えますが、本当にそうなのか考えてみました。

ポイント

ポイ活なしで普通にファーストクラスのチケットを買った方が総合的には安い場合がある!

なお、多くの仮定を置いたかなり粗い計算なので、色々とツッコミどころはあるかと思いますがご容赦下さい。

前提条件

この記事では「東京〜ハワイ(ホノルル)をANAのファーストクラスで往復」するために、普通に公式サイトで有償チケットを買うのと、ポイ活でポイントを貯めてそれをマイルに変えて特典航空券を得るので比較します。

国際線ファーストクラスのチケットの価格

記事執筆時点(2019年12月)で適当に2020年8月下旬のチケットを調べてみたところ、安いもので73万円のチケットがあるようです。今回はこれを基準にします。

2020年8月のファーストクラス往復1名分の価格

特典航空券を取得するのに必要なポイント

レギュラーシーズンだと仮定して公式サイトを調べると、東京〜ホノルル間の特典航空券を得るには120,000マイル必要なようです。

https://www.ana.co.jp/amc/reference/tukau/image/image_kokusai/mileage_chart_int.pdf

このマイルをポイントサイトで貯めるのに必要なポイントはいくらでしょうか?

少し前まではいわゆる「ソラチカルート」で81%の還元率でマイルに変えることができましたが、2019/12/28以降は使えなくなるので、今後の主な手段になるであろう「TOKYUルート」の還元率75%を計算のベースにすることにします。そうなると、120,000マイル貯めるのに必要なポイントは120,000 / 75% = 160,000ptになります。

ポイントサイトで必要なマイルを貯めるのにかかる時間と費用

案件の分類

ポイ活で有名な「ハピタス」などをざっと見ていると、得られるポイントが少ないものから多いものまでかなりバラツキがあり、平均が分かりません。ただ、概ね以下の3つに分けることができるかと思います。

金融系案件

クレジットカード発行やFX口座の開設など。だいたい平均すると1回あたり5,000ptくらい得られるようです。ただし申込みが多少面倒なのと、特にFX口座等の場合はまとまった金額の入金+少し取引が必要(すぐに取引を終了し、ポイントを得られたあとに引き出せば、結果的には損はしない)なので、少々ハードルが上がります。また、基本的に同一案件は一生に一度しか使えません

個人情報入力や書類の受け取り、必要な取引操作まで諸々含めて、1件あたり1時間が必要と仮定します。

モニター案件

お店や通販を利用してアンケートを提出するとポイントがもらえるというものです。当然ながらお店や通販の利用に出費が発生しますが、一定割合がポイントとして還元されるので、実質的には大幅な割引で利用できるとも言えます。

店舗の利用やアンケートの記入に1時間と、モニター商品の購入に2,000円を費やして1,000ptを得られると仮定します。

ショッピング・サービス案件

お店や通販などを利用すると、アンケートの提出無しでポイントがもらえるというものです。利用金額の○%還元のようなところもあれば固定量のポイントが還元される場合もあります。なお、上記の金融系案件は、これの特別なケースです。

ショッピングやサービスの利用(実際に購入するものの選択や店舗までの移動含む)に30分と、実際の利用に1,000円を費やして400pt得られると仮定します。

必要なマイルを貯めるのに必要な時間と費用

上記の案件をこなして160,000pt貯めることを考えます。

金融系案件は数が限られることを考えると、半年くらい頑張って実施できるのは次の表のくらいと想定します。

案件の種類獲得pt実施件数必要なもの
金融系案件5,000201時間
モニター案件1,000401時間 + 2,000円の出費
ショッピング
・サービス案件
4005030分 + 1,000円の出費

これを合計すると、85時間と13万円の出費で160,000ptを得ることができます。これだけ考えると、確かに大変ではありますが、13万円の出費で73万円分の航空券を得ることができるように見えます。

時間の価値を考える

上記で85時間と13万円と書きましたが、この85時間を別のことに使ったら収入を生み出すこともできます(残業とか副業とか)。上記の計算だと個人の時間の価値を考慮に入れていないので、この分の時間を普段の仕事の時給で金額換算してみます。

まず年間の休日日数は、週休2日制でだいたい125日前後なので、年間の営業日数を240 (= 365 - 125)日とします。この日数だけ一日8時間働くとすると、年間1,920時間働くことになります。

平均よりも少し高い年収500万円のサラリーマンだと、手取りは約380万円になります。これを先ほどの時間で時給換算すると、約2,000円になります。また年収1,000万円のサラリーマンだと手取りは約720万円になり、時給換算すると3,750円になります。

https://heikinnenshu.jp/tokushu/tedori.html#chapter4

これに上記の85時間を乗じると、160,000pt得るのに必要な費用(時間の価値を考慮した場合)は次のようになります。

  • 年収500万円の人…30万円 (= 85 * 2,000 + 13万)
  • 年収1,000万円の人…約45万円 (= 85 * 3,750 + 13万)

いずれの場合も、73万円のチケットよりは安くなります。

ポイ活はお得ではあるが旨味は少ない?

上記より、時間の価値を考慮してもポイントサイトでマイルを貯める方がお得という結果になりました。ただ、ポイントサイトから得たマイルで得られるのは特典航空券なので、通常の有償のチケットと比べるとデメリットがあり、単純な比較はできません

特典航空券での予約は大変

私はANAのハワイ路線で試したことはないですが、特典航空券は枠が少ない上に人気のため予約は相当熾烈らしく、1年近く前の予約受付開始日に秒単位の戦いを制して何とか取れるかどうかというレベルらしいです。私はANAではなくシンガポール航空スイートを取ったことがありますが、そのときでも半年先までざっと探して、空きがあった日は僅かという状態でした。

その点、(安い運賃の座席数は限られてはいますが)普通にお金を出してチケットを買えば、大抵は簡単に予約できます。

必要なマイルを得るまでにかなり時間がかかる

ポイントサイトでポイントを稼ぐには、特に高額案件の場合は申込みだけではなく取引が必要だったりするので、ポイントの獲得までに半月以上かかるケースもあります。さらに、単純に案件をこなすのにかかる時間や、ポイントをマイルに変えるまでの日数、さらにはマイルに変えることができる月間上限(TOKYUルートの場合最大で月間75,000pt)があることを考えると、必要なポイントを得るのに半年くらいはかかりそうです。さらに上記のように1年近く前から特典航空券での予約を始めることを考えると、ポイ活でハワイに行けるのは1年半先ということにもなりかねません。

一方で普通にチケットを買えば、半年後でも1ヶ月後でも、極端な例だと当日でも、ポイ活よりは早く予約可能です。

高収入の人は安い時期のチケットを買うのが手っ取り早い

年収1,000万円の人だと、ポイ活でチケットを得た方が28万円(= 73 - 45)お得になりますが、マイルの特典航空券だと上記のようなデメリットがあり、予約がなかなか難しいです。それだったらもう、普通にファーストクラスのチケットを買って、好きなときにハワイに行くのが良いのではないでしょうか

ちなみに冬だとチケットの値段が53万円に下がるので、得する金額が8万円に下がります。さらに、最安値だと37万円のものもあり、時間の価値を考慮した場合はなんとポイ活でポイントを貯めるよりも安上がりになります!(冬にハワイに行きたいかは別として…)

2020年1月のファーストクラス往復1名分の価格。最安値に注目!

そのため、高収入の人はポイ活に頼らずにサクッとチケットを買い、人が少ない時期にふらっとハワイに行ってのんびりするのも良いのではないかと思います。(その時は #男は黙って有償ファースト というタグを付けてツイートすると一部界隈では一目置かれると思います)

ちなみに、アメリカン・エクスプレスのカードを持っている場合、アメックス経由で航空券を予約すると空港までの送迎を格安で手配できるのでおすすめです。

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