日本ではほとんど知られていないのですが、Hilton Impresarioプログラムというものがあります。海外のサイトを眺めていたら偶然見つけたもので、恐らく日本語での情報はこのページが最初になると思います1。
これを利用すれば、ヒルトンの会員ランクや宿泊実績、使っているクレジットカードは一切関係なく、ヒルトン系列の高級ブランドであるコンラッドやウォルドーフ・アストリアの宿泊のときに豪華特典が付きます。
必要なのは多少の英語力だけ。
Hilton Impresarioとは
ヒルトン系列のうち、ラグジュアリーブランドのホテルで使える特別な宿泊プランです。
しかし、ヒルトンの公式サイトを探してもほとんど情報は載っていません。具体的な特典は以下で説明していきます。
Hilton Impresarioの特典
Hilton Impresarioのプランで宿泊すると、ホテルによって若干異なるようですが、次の特典が付きます。
- 空き状況次第で客室1ランク無料アップグレード
- 2名分朝食無料
- 100米ドル相当のホテル内クレジット
- (一部のホテルのみ)空き状況次第でアーリーチェックインやレイトチェックアウト
- (一部のホテルのみ)ヒルトン・オナーズのポイント2倍獲得
若干違いがありますが、ヒルトンのゴールド会員とアメックス・プラチナのファイン・ホテル・アンド・リゾートの間のような特典が得られます。ただ、ヒルトンのゴールド会員は宿泊実績を積むかヒルトン・アメックスを持つ必要があります。しかし、Hilton Impresarioは宿泊実績ゼロかつ所定のクレジットカード無しでも利用できます。
しかも、いくつか調べてみた限りでは、値段はヒルトン公式サイトのベストレート料金とほぼ変わりません!(正確に言えばベストレートより少し高いこともあるが、特典も含めてトータルで見るとおトク)
また、ヒルトン・オナーズのゴールド会員以上で選べる朝食よりも若干豪華になる(無料で選べる朝食の選択肢が増える等)傾向にあるようです(参考)。
対象ホテルブランド
Hilton Impresarioが使えるのは、ヒルトン系列の中でも次のブランドだけです。
- ウォルドーフ・アストリア
- コンラッド
- LXR
今のところ日本にはウォルドーフ・アストリアは無く2、日本で対象になるホテルは次の3つです。
- コンラッド東京
- コンラッド大阪
- ROKU KYOTO
実際にImpresarioプログラムで宿泊したときの様子はこちら。
【impresarioプログラム利用】コンラッド東京 エグゼクティブシティルーム宿泊記【コロナ状況下】
時期によってはimpresarioプランはclassic travelでは出てこないときがあります。その場合は、virtuosoプランを予約すれば「ベースポイント2倍」を除けばほぼ同じような特典が付く ...
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ヒルトンのポイントや宿泊実績は付く?
通常、ヒルトン公式サイト以外の旅行サイトから予約すると、ヒルトン・オナーズの会員としての宿泊実績等は付きません。
しかし、後述のClassic TravelからImpresarioプログラムのプランで予約すると、ヒルトン・オナーズの宿泊実績として反映されて、ヒルトン・オナーズのポイントも貯まるようです。
Hilton Impresarioのプランの予約方法
このHilton Impresarioは、主に富裕層向けの旅行を扱う特別な海外の旅行サイト(認定トラベルアドバイザー)経由でしか予約できません。操作はすべて英語で行います。ヒルトンの公式サイトやアプリからは予約できないのでご注意ください。
Hilton impresarioのプランを予約できるトラベルアドバイザーはいくつかあるようです。トラベルアドバイザーと英語で直接やり取りが必要なものもあり、少々敷居が高いです。
しかし、いくつかのサイトを眺めた限りだと、Classic Travelという旅行サイトを使えば、トラベルアドバイザーとのやり取り不要で、普通の旅行サイトの感覚で予約できます。
似たようなサービスとしてHoteLuxというアプリがありますが、HoteLuxでImpresarioプランを予約するにはElite会員以上になる必要があり年会費が発生するようです。しかし、Classic Travelでは年会費無しで無料でImpresarioプランを予約できます。
このWebサイトではHilton impresarioだけでなく、以前書いたvirtuoso.comの特典が付いたプランや、他のホテルグループの同様のプラン(Marriott Stars / Luminous, Hyatt Priveなど)を予約することも可能です。例としてClassic Travelでの予約方法を記します。
Classic Travelでの予約方法
まず、Classic Travelにアクセスし、ユーザー登録をします。
ユーザー登録したらトップページに戻り、メニューのHOTELSからWALDORF IMPRESARIO HOTELSを選びます。
impresarioプログラムがあるホテルのリストが出てきます。Destination(ホテルの地域)を指定してUPDATEをクリックし、さらに宿泊日を入力してCheck Availabilityをクリックします。
すると、ホテルのリストの中にAvailable roomsというリンクが出てくるのでクリックします。
指定したホテル・宿泊日で利用可能な宿泊プランが一覧表示されます。ヒルトンの公式サイトで出てくる普通のプランやvirtuosoの特典が付いたプランの他に、impresarioのプランも出てきます。
値段や特典の内容を比較して、予約したいプランをクリックしてください。なおここで取り上げているimpresarioの特典はimpresarioと書かれたプランを予約した時のみ得られます(impresarioと書かれたもの以外を選ぶと特典は付きません)。その後は宿泊者の情報などを入力する画面が出てくるので、普通の旅行サイトの要領で予約すればOKです。
なお、予約して2〜3時間程度ではホテル側に予約情報が伝わらないようです。しかし、数時間〜1日程度待てばホテル側に予約情報が伝わると思います。また、ヒルトン・オナーズの会員番号を入力する場所はありませんが、パソコン版のヒルトン・オナーズのマイページには予約情報が反映されました(メールアドレスと氏名が合致する会員がいれば自動的に予約した会員として判定されている?)。どういう訳かヒルトンのiPhoneアプリの方には出てきませんでしたが→アプリを最新バージョンにしたらヒルトンのiPhoneアプリにも出てきました。
ヒルトン・オナーズ会員やアメックスのファイン・ホテル・アンド・リゾートとの違い
ヒルトン・オナーズ会員との違い
ルームアップグレードなどは、ヒルトン・オナーズのゴールド会員と似ています。しかし次のような違いがあります。
- impresarioはアーリーチェックインができる場合がある(ホテル次第)が、ヒルトン・オナーズ会員ではアーリーチェックインの特典は無い
- impresarioはホテル内クレジット特典があるが、ヒルトン・オナーズ会員には無い
- impresarioはレイトチェックアウトの時間や無料朝食で選べる内容がヒルトン・オナーズ会員特典よりも若干良い傾向にある
- ヒルトン・オナーズ会員は確実にボーナスポイントが付く(ゴールド会員は+80%、ダイヤモンド会員は+100%)が、impresarioは2倍(+100%)になるホテルとならないホテルがある
- ヒルトン・オナーズ会員特典はヒルトン系列すべてのホテルで適用されるが、impresarioはコンラッドなど一部のブランドのみ
- ヒルトン・オナーズのゴールド会員以上を維持するには、ホテルの宿泊数を稼ぐか特定のクレジットカードが必要。しかしimpresarioは指定のトラベルアドバイザーを経由すれば宿泊実績等に関係なく利用可能
- ヒルトン・オナーズのダイヤモンド会員は、どの部屋を予約しても常にラウンジ入場可能。impresarioでラウンジに入れるのは、運良くラウンジ入場可能な部屋にアップグレードされた場合か、はじめからラウンジ入場可能な部屋を予約した場合のみ。
アメックスのファイン・ホテル・アンド・リゾート特典との違い
アメックスのファイン・ホテル・アンド・リゾート(FHR)特典とも似ています。しかし次のような違いがあります。
- ファイン・ホテル・アンド・リゾート特典ではレイトチェックアウトが16時確約。impresarioはレイトチェックアウトの時間はファイン・ホテル・アンド・リゾートより早い傾向にあり、またホテルの空き状況次第により利用不可な場合がある。
- ファイン・ホテル・アンド・リゾート特典では、アーリーチェックインは対象ホテルでは必ず付く(実際に利用できるかは空き状況次第)。impresarioではアーリーチェックインはホテル次第。
- impresarioではホテルによってはポイント2倍の場合がある。ファイン・ホテル・アンド・リゾートではポイントの優遇はない(ただしアメックス・プラチナを持っているとヒルトンのゴールド会員には無条件でなれるので、ボーナスポイント80%は手に入るはず)
- ファイン・ホテル・アンド・リゾートはアメックス・プラチナ以上の保有が必要。impresarioはクレジットカードに関係なく利用可能。
- ファイン・ホテル・アンド・リゾートでは、下位の特典であるザ・ホテルコレクションも含めるとヒルトン東京なども利用可能。impresarioはコンラッドやLXRなど一部のヒルトン系列のみ。
特典で比べた結果
何を目的とするかにもよりますが、特典の内容を見ると、概ねファイン・ホテル・アンド・リゾート(FHR) > impresario / ヒルトン・オナーズ ダイヤモンド会員 > ヒルトン・オナーズ ゴールド会員のように見えます。
特典 | ヒルトン ゴールド | ヒルトン ダイヤ | アメックス FHR | Impresario |
---|---|---|---|---|
予約状況次第で客室アップグレード | ○(エグゼクティブルームまで) | ◎(スイートになる可能性もあり) | ○(一部カテゴリーは対象外) | ○(一部カテゴリーは対象外) |
朝食無料 | ○ | ○ | ◎(ヒルトンゴールドより良いメニューのことがある) | ◎(ヒルトンゴールドより良いメニューのことがある) |
予約状況次第でアーリーチェックイン | × | × | ○ | ○ |
予約状況次第でレイトチェックアウト | △(1〜2時間程度) | △ | ◎(16時まで確約) | ○(ヒルトンゴールドより長め) |
ホテル内クレジット | × | × | ○(100 USD相当) | ○(100 USD相当) |
ヒルトンのボーナスポイント | ○(+80%) | ◎(+100%) | ○(アメックス・プラチナを持っていればゴールド会員のはずなので+80%) | ◎(ホテル次第で+100%) |
エグゼクティブラウンジの利用 | △(アップグレード結果次第) | ◎(部屋に関係なく確実に利用可能) | △(アップグレード結果次第) | △(アップグレード結果次第) |
上の表を見ると、使用する特典は概ね次のような使い分けになると思います。
- アメックス・プラチナを持っており泊まるホテルがFHR特典利用可能 → ファイン・ホテル・アンド・リゾート特典を利用
- 泊まるホテルがimpresario利用可能 → impresario特典を利用
- 泊まるホテルがimpresario利用不可 → ヒルトン・オナーズ会員特典を利用
ということで、impresarioは非常に有用であるものの、アメックス・プラチナの年会費を気軽に払える方はアメックス・プラチナを別途持つのも良いでしょう(コンシェルジュに予約を丸投げできる等の利便性がある)。また、コンラッドやLXRクラスのホテルは泊まるには高すぎる(普通のヒルトンで十分)という方はヒルトン・アメックスを持つのも良いと思います。