無難な投資方法として、毎月(または毎日)一定額の投信などを買い続ける「ドルコスト平均法」(定額購入)が有名です。
しかし、「一定金額ではなく、一定口数を買い続けるのでも良いのではないか?」(定口購入)と思う人もいるかも知れません。
相場の変動が一切無いケースを除いて、一定金額買い続ける方が良い理由を記します。
ポイント
- 相場がどんな動きをしても、定額購入の方が必ず良い結果になる(数学的に証明できる)
- 逆に売却するときは定口売却の方が良い
3種類の説明
感覚的な説明
多くの投資関係のネット記事では、大体次のようなことが書かれています。
「一定口数」買い続ける場合は、トータルの購入単価は買ったタイミングの金額の平均になる。
「一定金額」買い続けるのであれば、金額が高いときには少なく、金額が低いときには多く買うことになる。そのため、単純な平均よりは低い金額で買うことになる。
言われてみればそんな気がしますが、具体例が無いと分かりにくいという人も多いと思います。
数値例を用いた説明
例えばある投資信託を1月〜12月の1年間、毎月購入することを考えます。その投資信託の1口あたりの価格は次のように変動したとしましょう。
まず「毎月10,000円分ずつ購入」(定額購入)すると、購入単価は次のようになります。
次に、「毎月100口ずつ購入」(定口購入)すると、購入単価は次のようになります。
この例では確かに定額購入の方が、定口購入よりも単価が安くなりました。
ただ、「他の例では大小関係が逆になるんじゃないか?」という人もいるでしょう。
数学的な証明
疑り深い人や理系の人は、数値例でも納得しないでしょう。そこで、定額購入の方が良い理由を数学的に証明してみます。
投資に使う資金を[円]、購入する回数を、回目の購入時の投資信託の価格を[円/口]とします。また定口購入時に購入する口数を[口]とします。
定額購入の場合、毎回[円]ずつ購入するので、回の購入で購入した口数の合計は[口]。購入に使った費用は合計で[円]。
定口購入の場合、毎回[口]ずつを回目の購入では[円]で購入するので、回の購入で購入した口数の合計は、購入に使った費用の合計は。ここで、費用の合計が[円]になるはずなので、が成り立ちます。
定額購入時の口数 - 定口購入時の口数
ここで一般に算術平均1/調和平均(参考)なので、
だからとなる。つまり、同じ資金で購入できた口数は、定額購入の方が定口購入のときよりも常に大きい(「価格変動が無い場合」のみ、定額購入でも定口購入でも購入できた口数が同じになるが、定額購入の方が口数が少なくなることはあり得ない)ので、定額購入の方が購入単価も小さくなる。
結局、どうするべきか?
投資信託等を買い続けるときは、必ず「定額」購入しましょう。差は僅かかもしれませんが、「定口」購入よりも単価が下がります。
逆に、積み立てた投信等を売るときは、上記とは逆に単価を上げたいと考えるため、「定口」で売却した方が良いことになります。
もっとも…十分な資金が有るなら、わざわざ分割して売買するのではなく、一括で買ったり売ったりする方が良いとは思います。