Wikipediaへの寄付を税控除できない理由をちゃんと調べてみた

マネー

Wikipediaを見ていると、Wikipediaの運営元であるウィキメディア財団への寄付を呼びかけるお知らせが出てくることがあります。日本在住の人が寄付したら、税控除できるのでしょうか?

  • Wikipediaへの個人寄付は日本では税控除できない
  • 特定寄附金の7つの条件のいずれにも該当しないため

結論から言うと日本では税控除できないはずです(←「できないはず」という言い方をする理由は本記事の最後を参照)。しかし、その理由をGoogleで調べても「要件を満たすわけがない」とか「Wikimediaの古いページにそう書かれている」等と書かれているだけで説明になっておらず、きちんと最新の税法に則って解説しているページを見つけることができませんでした(2020/7/22時点)。そのため、国税庁のページを参考にしながら、税控除できない理由を記します。

※ ここでは日本の個人の税務について扱います。また、管理人の理解であり誤りが無いとは保証できないため、税務当局や税務の専門家に確認することをおすすめします。

寄付金控除とは

個人が国や地方自治体、特定の法人などに特定寄附金を寄付した場合は、次の金額だけ所得金額から差し引かれます(寄附金控除)

年内に支出した「特定寄附金」の合計額 - 2,000円 = 寄付金控除額

寄附金を支出したとき|国税庁

近年は、ふるさと納税で寄付金控除を受けている人が多いと思います。この算式から、Wikipedia(ウィキメディア財団)への寄付が「特定寄附金」に該当すれば控除できることになります。具体的には以下の7つのどれかに該当すれば良いです。

  1. 国又は地方公共団体に対する寄附金
  2. 指定寄附金
  3. 特定公益増進法人に対する寄附金
  4. 特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭
  5. 認定NPO法人等に対する寄附金
  6. 政治活動に関する寄附金
  7. 特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額など

Wikipediaへの寄付は特定寄附金に該当するか?

米国フロリダ州法による非営利組織であるウィキメディア財団への寄付が、特定寄附金に該当するかを考えてみます。

国又は地方公共団体に対する寄附金

非営利組織であり国や地方公共団体ではないので該当しません。

指定寄附金

「公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金で、広く一般に募集され、かつ公益性及び緊急性が高いものとして、財務大臣が指定したもの」が指定寄附金と呼ばれます。

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/wg3/0917/haifu_02.pdf

具体的には国宝の修復に関する寄附金や赤い羽根の募金などが該当するようです。この中にウィキメディア財団が含まれているか、財務大臣が指定したもののリストを探したのですが…困ったことに、日本全国の指定寄付金に該当するものの一覧を見つけることができませんでした。

代わりに都道府県ごとのリストはいくつか見つかりました。例えば東京都の財務大臣指定寄附金一覧は次の場所にあります。

https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/kojin_ju/zaimudaijin.pdf

東京都のものや、他の県のものを見ると、大学関係や各県の共同募金が指定されているようです。すべてのリストを見たわけではないので断言はできませんが、ウィキメディア財団が該当するとは考えにくい(緊急性が高いわけではなく、そもそも日本の組織ではないので…)ので、おそらく該当しないと思います。

特定公益増進法人に対する寄附金

公益法人等のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものへの寄附金を指します。こちらの具体的な例は明示されており、次のものが該当します。

  • 独立行政法人
  • 地方独立行政法人のうち、一定の業務を主たる目的とするもの
  • 自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団及び日本赤十字社
  • 公益社団法人及び公益財団法人
  • 私立学校法第3条に規定する学校法人で学校の設置若しくは学校及び専修学校若しくは各種学校の設置を主たる目的とするもの又は私立学校法第64条第4項の規定により設立された法人で専修学校若しくは各種学校の設置を主たる目的とするもの
  • 社会福祉法人
  • 更生保護法人
特定公益増進法人
特定公益増進法人

ウィキメディア財団は上記のいずれにも該当しないので、こちらには該当しません。

特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭

信託云々は関係ないので該当しません。

認定NPO法人等に対する寄附金

内閣府のサイトから認定NPO法人のリストを入手できます。

所轄庁認定・特例認定NPO法人名簿 | NPO法人ポータルサイト - 内閣府
NPO(Non Profit Organization)法人の検索・閲覧システム。

これにウィキメディア財団は含まれない(そもそも日本国内しか無い)ため、該当しません。

政治活動に関する寄附金

ウィキメディア財団は政治活動に関するものではないため該当しません。

特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額など

株式の取得には関係ないため該当しません。

寄附金控除はできない…はず

上記より、ウィキメディア財団は7つの条件のいずれも満たさないため、ウィキメディア財団への寄付は特定寄附金には該当しません。そのため、寄附金控除はできないことが分かりました。

………ただ、上記で特定公益増進法人にはいずれにも該当しない等とさらっと書きましたが、例えばその中の「公益財団法人」に該当する余地はないのでしょうか?日本の法律上の法人の定義を調べてみましたが、外国の法人をどう扱うかははっきりしません(注:管理人は理工系の学部出身であり、法律を体系的に学んだことはありません)。そのため、「ちゃんと調べてみた」とは言いながらも不完全ではあります。「対象法人のリストに載っていない」とか「そもそも外国の法人は税法が対象としていない」などと言い切ることができればよいのですが、管理人の知識ではそれ以上の判断ができなかったので、詳しい方がいればコメントを頂けると嬉しいです

なお、米国では税控除の対象になるほか、国別のウィキメディア協会がある国(ドイツなど)では、各国の協会への寄付が税控除できる場合があるようなので、日本以外にお住まいの方は各国の税務当局や税務の専門家に尋ねてみてください。