JGC/SFC修行の価値や必要な費用・時間はどれくらい?投資対効果を検証してみた。

飛行機・鉄道

色々な方のブログを見ていると、JALのJGC会員やANAのSFC会員になるのを目的として頑張って飛行機に乗る(JGC修行/SFC修行)方が一定数います。

確かにJGC/SFC会員になることができればメリットは多く、ブログを見ていても楽しそうなので、実際に私も修行しようか悩んだことがあります。ですが、投資対効果を考えた時に違和感も感じたため、冷静に考えてみました…。

  • 普段から飛行機に頻繁に乗る人(年6回以上)なら修行した方が良い
  • 逆に、普段は飛行機に乗らない人の場合は、修行に費やす時間の価値を考えると投資対効果が悪い。特にほぼゼロからの修行は投資対効果が悪すぎる。
  • そもそも一生メリットが続くとは思えない

JGC/SFC修行とは?

JALやANAには、頻繁に自社グループの飛行機に乗る人向けの会員制度があり、JALだとJGC(JALグローバルクラブ)、ANAだとSFC(スーパーフライヤーズ)と呼ばれています。公式サイトはこちら。

JGC/SFC会員のメリット

JGCとSFCには似たようなメリットがあります。詳しくは上記のJAL/ANA公式サイトを見るか、他の人のブログを見てみて下さい。

  • ワンワールド サファイア会員(JGC)/ スターアライアンス ゴールド会員(SFC)
  • ボーナスマイル加算
  • 優先チェクインカウンター
  • 優先搭乗
  • ラウンジ利用
  • 特典航空券を取りやすくなる?

など。特筆すべき内容としては、一度JGC/SFC会員になってしまえば、所定のクレジットカードの年会費(1万円ちょっと)を払い続けるだけで、制度変更が無い限りは一生JGC/SFCのメリットを享受できることになっている点です。

JGC/SFC会員になるための条件

1年間で所定のポイント(マイルとは異なる方法で計算される)を得ることで、JGC/SFC会員になるための権利を得ることができます。詳しくは上記の公式サイトなどに書かれていますが、長くなるのでここでは省略。この記事を読んでいる人は、ここまでに書いていることはきっとご存知でしょう。



JGC/SFC会員の特典は本当に一生続くのか?

さて、ここからが本題です。

上記で、対応するカードの年会費を払い続ける限りはJGC/SFC会員のメリットを一生享受できると書きました。しかし、本当に一生続くのでしょうか?

私は「メリットが一生続くという」という触れ込みに疑問を抱いています。

JAL/ANA側の事情

今も昔もそうですが、JGC/SFCになれるのは普通は出張が非常に多い人(JAL/ANAにかなりの金額を直接貢いだ)に限られており、結果として年齢層も高めの人が多かったと思います。

しかし、今はポイントサイトの利用などでJGC/SFC修行にかかるコストを減らす方法が知られているため、若くからJGC/SFC修行を達成する人も増えています。また平均寿命が伸びていることもあり、それらの方に対してJGC/SFCのサービスを提供し続けなければならない期間が昔と比べると伸びています。結果として、1人のJGC/SFC会員にかかるコストが増えていると考えられます。

所定のクレジットカードの年会費で、ある程度のコストは回収していると思いますが、当初の想定から現実が乖離してきているのではないかと思います。もしJAL/ANAがコストを回収できないと判断した場合には、制度変更はあり得ると推測しています。

コロナによる経営へのダメージは、制度変更の口実になり得るかな

日本という国の事情

私の場合はやや極端な考え方ですが、日本円の価値の継続性についても疑問を持っており、日本円以外の形で資産を持とうとしているくらいです。

まず、少子高齢化の進行により日本の財政状況はどんどん悪くなっています。また、これから10年以内にAIの発達によって人が行う仕事が急激に減ると思われますが、そのような時代に日本が対応できるかと言うと、恐らく米中よりも対応が遅れると思います。

結果として、経済的に日本は没落していくと考えています。

JGCのワンワールド サファイア・ANAのスターアライアンス ゴールドメンバー特典ですが、他の国の航空会社で類似の特典を(年間1万円かそこらのコストだけで)簡単に維持できるという話は聞きません。ワンワールドやスターアライアンスを支える裏側の仕組みは知りませんが、JGC/SFCでサファイア・ゴールド会員を簡単に維持できるとなると、単純に考えてJAL/ANA以外の他国の航空会社が割を食う(会員数が多いほどワンワールドやスターアライアンスの特典の維持に必要な総コストが増える)ので、JAL/ANAがそれ相応の経済的負担を行っていると想像しています。

ただ、日本が経済的に没落していくとJAL/ANAが負担し続けるのが困難となるため、私の推測では、JGC/SFCの目玉であるワンワールドサファイア・スターアライアンスゴールド特典はいずれ無くなると思います。

修行に必要な本当のコスト

上記で書いたとおり、JGC/SFC会員の特典が一生続くとは考えていません。そのため、今のJGC/SFC会員の特典を得られる期間を10年と仮定します。

また、修行で使うルートとして、国内線でよく使われる羽田〜那覇ルートを使うと想定します。JGCを目指す場合、JALカードを持っていると初回搭乗時に5,000FOPもらえるキャンペーンがあります(2020年も継続)。この場合、高額な座席(JALだとファーストクラスやクラスJ、ANAだとプレミアムクラス)を予約すれば、初回搭乗時の5,000FOPも合わせて、だいたい10往復で所定のポイントを得ることができるようです。

よって、今回は

  • 年収500万円のサラリーマンが
  • 羽田〜那覇をJAL便で10往復(20回搭乗)してJGC会員になり
  • 10年でJGC会員のメリットを消化していく

ことの投資対効果を考えることにします。SFCを目指す場合も恐らく似たようなものだと思います。

時間の価値を考慮しない場合

チケットのとり方や時期、ルートなどによって変わりますが、だいたい50万円ほどかかると言われています。

さらに、JGC/SFC対応のクレジットカードの年会費が1万円×10年分がかかるとします。

ただし、修行の過程で得たマイルをe JALポイントに交換することで、航空券購入にかかる費用を減らすことができます。羽田〜那覇は982マイルなので10往復すると19,640マイルを得ることができますが、クラスJやファーストクラスを使うと得られるマイルが増えたり、修行中にJMBクリスタルになることでさらにボーナスマイルを得られる等を考えて、計30,000マイル得ると仮定し、これをe JALポイントに交換することで45,000円分の値引きができます。

よって、合計55万円(≒ 50 + 10 - 4.5)かかるものとします。

時間の価値を考慮した場合

羽田〜那覇の片道で3時間程度かかります。もちろん、飛行機の中で読書したり作業したりすることができるので、搭乗している時間がまるまる無駄になるわけではありません。しかし搭乗手続きや空港への移動の時間も考えると、片道あたり2時間を何もできずに費やすものとします。これが10往復分として、合計40時間(= 2 * 10 * 2)を捨てることになります。純粋に必要な外出時間は、これの3倍はかかるでしょう。

以前、ポイントサイトを利用したファーストクラスの特典航空券取得に必要な時間とコストを考えた時に、年収500万円のサラリーマンだと実質的な時給が約2,000円になると書きました。同じ時給計算を行うと、この時間の価値は8万円(40 * 2,000)になります。(ちなみに年収1,000万円の人の場合は15万円)

よって、時間の価値を考慮すると合計63万円(= 55 + 8)が必要だと言えます。(10年分という比較的長期間の投資ですが、金利やインフレ率を考慮した現在価値とかは無視する)

JGC/SFC会員で得られるメリット

ここではJGC会員が得られるメリットを考えます。以前はSFC会員は国際線でプレミアムエコノミークラスに無料でアップグレードできるという絶大なメリットがありましたが、こちらの特典が無くなった今は、JGCもSFCもほぼ同じだと思います。

メリットの金額換算

待ち時間を短縮する効果のある特典については、年収500万円のサラリーマンの時給計算(2,000円/時)で金額換算します。

特典時間短縮効果 [分]金額換算 [円]
特典航空券を取りやすくなる?-?
優先チェックインカウンター20667
優先保安検査20667
ラウンジ利用-3,000 ※
優先搭乗10333
手荷物優先受け取り10333
合計605,000

※JALの国内線サクララウンジは3,000円払えば入場可

上記の表から、JGC会員が1回JAL便に乗ることで得られるメリットは5,000円になります。なお年収1,000万円の人の時給換算なら6,750円になります。

特典航空券の取りやすさを無視した理由

…ですが、上表を見ると特典航空券の取りやすさによるメリットを無視しています。「ポイントサイトでマイルを普段から貯めているので、ここが一番重要なんだよ!」という方もいるでしょう。

少し調べた限りでは、ANAはSFC会員だと特典航空券の枠が増えることがあるようですが、JALの平JGCでは情報が見つかりませんでした(実際にはあるのかもしれない)。もっとも、JGCの上位版である「JGCプレミア」だと特典航空券の予約可能時期が早くなるので、特典航空券を予約しやすくなりますが、さすがにJGCプレミアまで修行で得るのは大変すぎる上に、JGCと違って「一度取れば簡単に一生維持できる」というわけではありません(毎年80,000FOP獲得が必要)。

また、私個人の考えですが、ポイントサイトでマイルを稼ぐのは時間と手間がかかりすぎる(1年目ならともかく、使える金融系案件がネタ切れになりそうな2年目以降は厳しい)し、その時間を使って年収アップのための自己投資をした方が効率が良いと思っているため、クレジットカードの決済で得るポイント以外は無視しています。

そのため、ここでは「よく分からないので無視する!」という暴挙に出ることにします。

結論:ほぼゼロから修行する人はメリットを得られない

ここまでで、「時間の価値を考慮して63万円」かけることで「1回あたり5,000円」のメリットを10年間得ることができることが分かりました。

単純計算すると、10年間で126回(= 63万円 / 5,000円)JAL便に乗ると投資対効果がプラスになります。年6〜7回往復すればすれば良いことになります。

しかし…本当に年6〜7回往復するものでしょうか?気合を入れてほぼゼロの状態からJGC/SFC修行する人は、普段はあまり飛行機に乗らない人だと思うので、飛行機に乗るのはせいぜい年2〜3回程度だと思います。そのため、このペースではモトを取ることができません。ポイントサイトでマイルを稼いで、それで必要なお金を減らすとしても、ポイントサイトでマイルを稼ぐのにかかる時間を考えると、投資対効果が良いとは思えません。

もっと言えば…JAL国内線の場合、わざわざJGCにならなくても国内線サクララウンジを利用できる方法がいくつか存在します。そのうち1つは、出張する人が多い会社に勤務している方なら簡単に利用できる可能性があるものです。

逆に、普段の仕事で自然にJMBクリスタル/ANA ブロンズサービス会員くらいになれる人は、修行の投資対効果は上がる(後述)ので、JMBクリスタル / ANAブロンズサービス会員になれるかどうかが一つの目安だと思います。

ちなみに、下記のブログ(私のものではない)では、私が冒頭で触れた違和感が端的に表されているので、修行するか迷った場合はこちらも参考になると思います(なお、リンク先のページに書かれているSFCの座席アップグレードは今はありません)。

それでもJGC/SFC修行を行う価値があるケース

普段から頻繁に飛行機に乗る機会がある人や、修行関係なしに飛行機に乗る事自体が楽しみな人なら、逆に修行を行う方が良いでしょう。

仕事等で普段から頻繁に飛行機を使う人

例えば「毎月最低でも1回は飛行機で出張する」という人はモトを取れます。ただ、そのような人は(移動するルートや座席クラスによりますが)自然とFOPが貯まっており、JMBクリスタルやANAブロンズくらいにはなっているのではないかと思います。そのような人で「あと10,000FOPあればJGCになれる」というのであれば、ササッと修行する価値はあると思います。羽田〜沖縄間をファーストクラスで2往復する等すればJGCになれるので、費やす時間とお金も許容範囲でしょう。

飛行機に乗ること・飛行機での旅行が好きな人

乗り物に乗ること自体が好きな人は一定数おり、その中には飛行機好きも居ると思います。また、「とにかく旅行が好き!」という人もいるでしょう。

投資対効果としては良くないところですが、趣味として飛行機に乗りまくるのは楽しいと思います。

ひたすら飛行機で往復しても楽しいという人で、なおかつ時間とお金に余裕があれば、趣味としての修行(もはや修行ではない?)はアリだと思います。